音声で聞くこともできます。(4分30秒)
〜発足40周年に思う〜
先輩の業績を引継ぎ、
明日へつなげます
2018年 10月
我が国に音声訳が誕生してから、 約60年が経ったそうです。
上越音声訳マザーテープの会の誕生は、昭和53年、県と県身体障害者団体連合会共催の「第1回上越地区 朗読奉仕者養成講座」が開催され、修了後受講者の有志により結成されました。発足時顧問としてご尽力を 頂いたのは、市川信夫さんと野澤シゲ子さんです。 結成時は「朗読奉仕の会」と称していましたが、その後幾多の変遷を経て、今日「上越音声訳マザーテープの会」として活動しています。
当会は誕生して40周年を迎えましたが、この機会に視覚障害者等の「目の代わり」という活動の原点をしっかり押さえ、先輩の業績(平成18年の厚生大臣表彰等)を継承しながら、明日にむかって今後の音声訳の有り様を探求していきたいと思ってい
ます。
当会の活動内容は多々ありますが、主なものは上越市立高田図書館蔵書の音声訳、 上越市社会福祉協議会「社協だより」の音声訳、プライベート依頼図書の音声訳等です。
高田図書館の例では、当会を中心に音声訳された録音図書は2500冊を超えていると考えていますが、録音したテープの劣化等もあり、貸し出し可能な録音図書は平成30年7月現在、カセットテープ932タイトル、デイジー825タイトル、合計 1757タイトル(一部両者にダブリあり)です。
上記にデイジーと述べた通り、現在、録音図書の作成はデジタル録音によりCDで作成されています。デジタル録音に転換されてからは、カセットテープよりも技術的に簡便に音声訳に取り組めるようになりましたが、その大変さは依然として変わりはありません。
発足40周年に当たり、当会では「音声訳ボランティア活動拡充事業(発足40周 年記念事業として)」を企画し実行しました。記念誌の刊行もその一つですが、その他の事業概要はこの記念誌にも掲載しましたのでご覧ください。
さて、今後の音声訳の拡充についてですが、いろいろと考えていかねばならないことが沢山あります。近年改正された著作権法により、対象者が視覚障害以外の障害者 や高齢者などにも拡大されましたが、それへの対応を模索しなければなりません。また、障害者差別解消法が制定されましたが、その精神に添う音声訳の拡充も検討しなければなりません。更に、合成音声の普及がありますが、これまでの肉声による音声訳との競合をどう乗り越えていくかも課題であります。
明日に向かっては、このように課題が山積しておりますが、利用者の声を汲み上げながらより良い録音図書作りを志向する発足40周年でありたいと思っています。
最後に、記念誌も含め、発足40周年事業の実施に当たり、上越市共同募金会から 「平成30年度赤い羽根共同募金助成」を受けることができましたので、ここに御礼申し上げます。